新世界国際劇場の閉館ドキュメント!96年の歴史に幕を下ろした終夜上映の全貌【大阪】
新世界国際劇場の閉館は、ノスタルジーだけで片付けることはできません。その背景には、全国の独立系映画館が共通して直面している極めて過酷な構造的要因が存在します。
第一に、建築物の老朽化と耐震基準の問題です。築96年を迎えた木造・モルタルの建物は、度重なる補修を施してきたものの、空調設備や配管、防災設備の全面改修には数千万円単位の資本投下が必要でした。チケット代1,000円前後の低廉な入場料で経営を維持する名画座にとって、その費用を回収することは不可能です。
第二に、映写フォーマットの変遷と上映コストの高騰です。映画配給のDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)化が進んだことで、旧作のフィルムプリントを調達・上映するコストやハードルは年々上がっていました。加えて、近年の電気料金の高騰は、広大な空間を24時間近く暖冷房し続ける終夜上映館にとって決定打となりました。
新世界という街自体の変容も無縁ではありません。かつてのドヤ街・労働者の街は、現在ではインバウンド観光客が押し寄せる巨大なアミューズメントタウンへと変貌を遂げました。街の治安向上と再開発が進む一方で、社会の周縁に生きる人々を受け入れてきた寛容な「余白」が、都市から急速に切り落とされている現実を浮き彫りにしています。
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