旧呉鎮守府司令長官官舎のレトロ美とは?金唐紙の輝きと和洋折衷建築の見どころを徹底解剖
入船山記念館を訪れた者が最も息を呑む瞬間、それは洋館の客室に足を踏み入れたときでしょう。壁面と天井を埋め尽くすのは、革のような重厚な質感と、金属の鈍い光沢を放つ「金唐紙(金唐革紙)」です。
金唐紙とは、ヨーロッパから輸入された「金唐革(ギルトレザー)」を、日本の高度な和紙漉き技術と木版彫刻技術で模倣・昇華させた最高級の装飾壁紙です。手漉きの重厚な和紙に錫箔(すずはく)を貼り、精緻な花唐草などの文様を彫った版木棒に重ねてプレス。凹凸を浮き出させた後、上から漆や顔料を手作業で塗り重ねることで、金色に輝く絢爛豪華なテクスチャーを生み出します。
官舎の洋館客室および書斎に貼られた金唐紙は、アール・ヌーヴォーの影響を受けた華麗な植物文様が特徴。光の差し込む角度によって黄金、真鍮色、深いアンバーへと表情を変えます。かつて紙工芸の最高峰として欧米へ輸出されたものの、職人技の途絶とともに「幻の技法」となった金唐紙。1990年代の解体修理時に、当時の文様を忠実に復元・再現したこの空間は、美術工芸の観点からも極めて高い価値を誇っています。
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入 船山 記念 館