上條恒彦のアンダー・ザ・シー秘話!セバスチャン役の圧倒的歌唱力と名演の全貌
セバスチャンは、トリトン王に仕える堅物な宮廷音楽家でありながら、親しみやすいトリニダード風の訛りを持つ赤いカニです。原語版ではサミュエル・E・ライトがブロードウェイ仕込みの弾けるようなスキャットとカリビアン・アクセントで歌い上げ、アカデミー歌曲賞を受賞しました。
日本語吹き替え版のキャスティングにおいて、当時すでに舞台俳優・歌手として不動の地位を築いていた上條恒彦氏が起用されたことは、作品の運命を決定づけました。氏の声質は、極めて芯の太い豊かな低音ボイス。通常、小動物やコミカルな甲殻類キャラクターには軽妙なテノールや甲高い声質があてがわれがちですが、ディズニーはあえて大御所の重厚な声色を選びました。
その結果、単なるドタバタ劇の付き添い役ではなく、「若きアリエルを案じる初老の教育係」としての深い情愛が声の響きそのものに宿ることになりました。威厳に満ちた普段の台詞回しから、音楽が始まった瞬間に底抜けの多幸感へと跳躍するコントラスト。この鮮やかな切り替えこそが、劇中歌「アンダー・ザ・シー」の爆発力を何倍にも高めた要因です。
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