電波塔から文化財ホテルへ!タワーホテルナゴヤの再生軌跡と最新アワード速報
テレビ塔の命運が尽きかけた瞬間がありました。アナログ放送の終了後、主たる収益源だった電波送信事業が完全に停止。毎年数千万円単位で発生する塗装や防錆などの維持コストが重くのしかかりました。さらに突きつけられたのが、2013年の耐震改修促進法改正に伴う大規模耐震補強の義務付けです。試算された改修費用は約20億円。民間企業一社で背負うにはあまりに重い負担でした。
「壊して更地にするほうが経済的合理性があるのではないか」。そうした議論が渦巻くなか、起死回生の一手として浮上したのが、久屋大通公園全体のPark-PFI事業(公募設置管理制度)と連動させたホテル化構想でした。塔単体を維持するのではなく、公園全体の中心拠点として民活再生を図る道です。
最大の障壁は、登録有形文化財としての外観を保ちながら震度6強から7クラスの大地震に耐えうる構造へと改修することでした。通常の補強工事のようにブレース(筋交い)を外壁全面に追加すれば、内藤多仲が手がけた流麗なトラス構造のプロポーションが破壊されてしまいます。設計陣が選択したのは、地下の基礎と塔本体を切り離し、基部に免震ゴムとオイルダンパーを挿入する「免震レトロフィット工法」でした。地上部分の鉄骨に大きな手を加えることなく、塔全体の揺れを劇的に逃す構造転換。この決断が、世界初タワーホテル誕生への技術的礎石となりました。
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