赤と緑の光はなぜ黄色?調色クイズで話題の「混色の法則」を徹底解剖
とはいえ、直感的には「赤と緑の光を足して、なぜ赤緑ではなく『黄色』という全く別の色に見えるのか?」という疑問が残ります。この謎を解くカギは、光そのものの性質ではなく、人間の眼球の奥にある「網膜のセンサー構造」と「脳の情報処理」に隠されています。
人間の網膜には、色を見分ける「錐体(すいたい)細胞」という光センサーが約600万個敷き詰められています。このセンサーには以下の3種類しか存在しません。
- L錐体(赤錐体):長い波長の光(主に赤色付近)に強く反応する
- M錐体(緑錐体):中間の波長の光(主に緑色付近)に強く反応する
- S錐体(青錐体):短い波長の光(主に青色付近)に強く反応する
実は、人間の目には「黄色だけを専門に感知するセンサー」が備わっていません。私たちが本物の黄色いレモンを見たとき、レモンの表面から反射された「黄色の波長(約570〜590ナノメートル)」は、波長域が近い「L錐体(赤)」と「M錐体(緑)」の両方を同時に同じくらいの強さで刺激します。すると脳は、「赤センサーと緑センサーが同時に反応したぞ!つまりこれは『黄色』だ!」と判定を下します。
ここに、赤と緑の光を混ぜると黄色に見えるトリックがあります。単一の黄色の光が目に届いたわけではなくても、「赤い光」と「緑の光」を同時に目に入れると、結果的に網膜の赤センサー(L錐体)と緑センサー(M錐体)が同時に刺激されます。脳にとっては、本物の黄色の光が入ってきたときと全く同じ電気信号が送られてくるため、「鮮やかな黄色がある」と錯覚(認識)してしまうのです。
私たちが毎日見ているスマートフォンやパソコンのディスプレイ、大型テレビの画面も、この人間の脳の仕組みを100%利用しています。画面を顕微鏡やルーペで極限まで拡大すると、そこには「黄色の粒」は存在せず、赤(R)・緑(G)・青(B)の3色の極小LED(サブピクセル)が並んでいるだけです。画面上でピカチュウやひまわりの黄色を表示するときは、その部分の「赤」と「緑」の素子だけをフル発光させることで、私たちの脳内に美しい黄色を作り出しています。