山田浅右衛門の実在モデルとは?地獄楽元ネタと首切り役人の知られざる闇を徹底解剖
『地獄楽』に登場する佐切や殊現といったキャラクターたちは、幕府に仕える試一刀流の剣士として描かれています。しかし史実の山田浅右衛門家は、幕府の官僚機構に正式に組み込まれた常勤武士ではありませんでした。彼らの正式な立ち位置は、将軍の腰物や大名家が所持する日本刀の性能を試す御様御用(おためしごよう)と呼ばれる技能職の請負人でした。
初代・山田浅右衛門貞武(さだたけ)が山野加右衛門から試し斬りの技術を学んで以降、山田家代々は徳川将軍家の刀剣試しを委託されるようになります。江戸時代の厳格な身分制度において、死穢(しえ)に関わる業務は表向きの武士社会から忌避される傾向にありました。そのため、幕府直参の旗本御家人が自ら罪人を斬首することを避け、卓越した剣技を持つ山田家へ外注するシステムが定着したのです。
一族は形式上「浪人」の身分にとどまりながらも、小伝馬町の牢屋敷で執行される斬首刑を一手に引き受けました。公的な扶持米をもらわない代わりに、彼らには処刑後の遺体を自由に取り扱う特権が与えられていたのです。
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