いにしえのワードアートは本当にださい?カプセルトイから見る平成のリアル
「ださくて使い物にならない」と見放されていたはずの表現が、なぜいま空前のブームとなっているのか。その象徴的な転換点となったのが、ブライトリンクから発売され話題をさらった「PC初心者ががんばって作ったチラシ」風アクリルキーホルダーなどのカプセルトイでした。
カプセルトイに収められたミニチュアチラシには、「バザー開催のおしらせ」「パソコン教室生徒募集」といった日常的なテキストが、見事なまでに不揃いなフォント、原色で主張する見出し、そして不自然な配置のクリップアートとともに印刷されていました。この商品がSNSで爆発的な拡散を見せ、即座に品薄となった背景には、ネット世代共通の「共通体験」があります。
2000年代前後のいにしえのインターネット草創期、パソコンを手に入れたばかりの父親や学校の先生、商店街の店主たちは、「せっかくパソコンがあるのだから、かっこいいチラシを作ろう」と意気込みました。その結果生まれたのが、ソフトウェアの機能を全部盛りにしてしまったダサいお知らせです。作り手の「一生懸命に目立たせようとした熱意」と、ソフトウェアの性能が噛み合わずに空回りした痕跡は、令和の若者にとっては「計算されていない純粋なアーツ」として、当時をリアルタイムで生きた世代にとっては「身悶えするような郷愁」として受容されたのです。
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