放牧・遊牧・移牧の違いを一覧比較!世界の分布地域と特徴を徹底解剖
遊牧としばしば混同されるのが「移牧(Transhumance)」です。両者を分ける最大の決定打は、「水平移動」か「垂直移動」か、そして「拠点となる村があるかどうか」です。
移牧は主にアルプス山脈やピレネー山脈といった険しい高山地帯で見られる農牧形態です。平地が少なく農耕可能地が限られる山岳地帯において、斜面空間を最大限に活用するために編み出されました。
春から夏にかけて気温が上昇すると、雪解けとともに標高の高い森林限界上部に栄養価の高い牧草地(アルプス地方では「アルプ」と呼ばれる草地)が現れます。家畜の群れ(主に乳牛やヒツジ)は番人と一緒にこの山頂近くの牧草地へと登り、初秋まで放牧されます。搾った生乳は運搬が難しいため、山小屋で長期保存可能な大型の硬質チーズ(エメンタールやグリュイエールなど)へと加工されます。
そして寒風が吹き雪が降り始める秋になると、家畜は山麓の集落へと下りてきます。冬の間は村の牛舎で干し草を食べて越冬します。つまり、人間には定住する恒久的な母村があり、季節の周期に従って高地と低地を垂直方向に往復するシステムが移牧の本質です。
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