パイレーツのグリーンフラッシュはなぜ起きる?科学的仕組みと元ネタを徹底解剖
脚本家のテッド・エリオットとテリー・ロッシオは、グリーンフラッシュを単なる光のトリックとしてではなく、カリブ海に伝わる古い海賊の伝承と結びつけました。
大航海時代、数ヶ月にわたって陸地を見ない船乗りたちにとって、水平線は世界の果てであり、現実と異界の境界線でした。壊血病や嵐、海戦で命を落とした無数の仲間たちを水葬で見送った船乗りたちは、海そのものを巨大な霊廟と捉えていたのです。夕日が沈む際に稀に見える緑の閃光は、「今まさに旅立った魂が、あの世の安息の地へ到達した証」あるいは「死者の魂がこちらの世界に別れを告げた瞬間」として畏怖と敬意をもって語り継がれました。
この民間伝承は19世紀の小説家ジュール・ヴェルヌが著した『緑の光線(Le Rayon Vert)』によって一般にも広く認知されるようになります。ヴェルヌの作品では「この光を見た者は自分自身の心と他人の心が偽りなく読めるようになり、真の愛を得られる」というロマンチックな伝説として脚色されました。『パイレーツ・オブ・カリビアン』は、このヴェルヌ的ロマンよりもさらに古い、船乗りたちの原初的な死生観へと立ち返り、冥府の管理人であるフライング・ダッチマン号の物語へと接続したのです。
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