『大の里は天然パーマでストレートパーマをかけた?土俵を沸かせる美髪の噂と正体を検証』
ネット社会特有の思い込みとして、「相撲取りの髪はもともと直毛でなければ大銀杏にならない」という誤った認識があります。しかし、実際の床山や関係者の証言によれば、完全な直毛(サラサラヘア)よりも、ある程度コシやわずかなウェーブのある髪質の方が髷を結いやすいとされています。
針金のように硬い直毛は反発力が強すぎて油を弾きやすく、元結(もっとい:髷を縛る和紙の紐)で縛った際に滑り落ちてしまうリスクがあります。一方で、大の里のように適度な太さとわずかなうねりを持つ髪質は、びん付け油の馴染みが非常に良く、床山が力を込めて伸ばした際にその形状を記憶しやすいという特性を持っています。
つまり、ざんばら髪のときに外に跳ねていたのは、髪が中途半端な長さだったために毛先の重みが足りず、汗と皮脂でクセが出ただけの現象です。プロの床山の手にかかれば、その適度なクセこそが髷を崩れにくくする最高の接着剤として機能します。
【プロの結論】大相撲の伝統美から読み解くアスリートの身体性と様式美
大の里の髪型を巡る一連の議論は、日本古来の様式美と現代アスリートの身体性が交錯する興味深い現象です。現代のスポーツ界では、選手の髪型や外見は個人の自己表現として自由に委ねられる傾向にあります。しかし大相撲においては、個人の髪質という「生来の肉体的特徴」を、伝統的な職人技である「型」の中に昇華させるプロセスそのものが神事・文化としての重みを持っています。
天然パーマやクセ毛といった個人の身体的特徴を薬品で強引に排除するのではなく、植物性の油と手先の技、そして日々の手入れによって均整の取れた大銀杏へと整える――。大の里の頭髪の変遷は、昭和・平成・令和と受け継がれてきた日本の職人文化がいかに精緻であるかを物語る生きた証拠といえます。
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