鼻くそはなぜ溜まる?耳鼻咽喉科医が明かす構造と正しい掃除術を徹底検証
鼻腔に異物感を覚えた際、多くの人が無意識に行っているのが「指による掻き出し」です。しかし、耳鼻咽喉科医が最も強く警告するNG習慣が、この力任せの鼻ほじり(Rhinotillexis)です。
鼻中隔の前方下部には、キーゼルバッハ部位(Kiesselbach's plexus)と呼ばれる特異な領域が存在します。ここは複数の動脈が合流し、極めて薄い粘膜の直下に網目状の毛細血管が集中しているため、わずかな物理的刺激で容易に破綻します。硬く乾燥した鼻垢は、粘膜の表面に強固に癒着していることが多く、指や爪で無理に引き剥がすと表皮が一緒に剥ぎ取られ、確実に出血を引き起こします。
さらに危険なのは感染症のリスクです。ヒトの指先や爪の間には、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)をはじめとする膨大な常在菌が存在します。爪で粘膜を傷つけると、傷口から細菌が侵入して鼻前庭炎(びぜんていえん)を発症し、鼻先が赤く腫れ上がって激痛を伴うことになります。傷口から滲み出る浸出液や血液は新たな塊を形成し、それがまた不快感を生んで再び指を突っ込んでしまうという、悲惨な悪循環に陥るのです。
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