ボンベイ型とは何か?O型と誤認される恐怖と希少血液の真実を徹底解剖
救急医療の現場において、患者の血液型が確定する前の緊急時にO型赤血球製剤が用いられることがあります。O型赤血球にはA抗原もB抗原も存在しないため、レシピエントの抗A抗体や抗B抗体による攻撃を受けにくいと考えられているからです。しかし、患者がボンベイ型であった場合、この「安全策」は一変して破滅的な医療事故へ直結します。
ボンベイ型の血清中には、通常のABO式血液型が持つ抗A抗体や抗B抗体に加え、極めて力価の高い抗H抗体(IgMおよびIgG)が自然抗体として存在しています。通常のO型赤血球の表面には、膨大な数のH抗原が露出しています。そこにボンベイ型の血液が接触すると、抗H抗体がO型赤血球を即座に凝集・破壊し、激しい急性溶血性輸血副作用を誘発します。悪寒、高熱、腰痛に始まり、播種性血管内凝固症候群(DIC)や急性腎不全へと急速に進行します。
1952年、インドのボンベイ(現ムンバイ)でBhende博士らによって初めて報告されたこの表現型は、ABO遺伝子そのものの変異ではなく、その前提となる糖鎖合成酵素の欠損によって引き起こされることが突き止められました。
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